タル日記その7 はやくゴシゴシにゃ!
あれからオイラ達はクゥルンから撤収し、解散した。
冒険の疲れを癒すため、オイラは公衆浴場にやって来た。
冒険から帰ってから風呂に入るのは日課になってるんだけど、オイラ風呂は苦手なんだよな。
風呂というか頭を洗うのが苦手なんだ。オイラ達タルタル族は頭に手が届きにくいから。
いつもは黒っちと一緒に風呂に入ってお互いの頭を洗いあうんだけど、今日は黒っちは尻枕に怒り狂った赤魔子に連行されてしまった。
今頃折檻されているんだろうなぁ。
ちなみに折檻といってもボコボコにされるわけじゃなくて、赤魔子は黒っちを痛めつける時は精神的に責めるらしい。
なんでも黒っちを縛り上げて、目の前で愛人達と絡みながら尻を見せつけまくるんだそうだ。
黒っちは堪え性が無いから尻が目の前にあるのに触れないもどかしさに、きっと今頃わんわん泣いてるんだろうなぁ…。
助けてやりたいけど、今日は黒っちもやりすぎたから仕方がないよな。
植木鉢育ちのベンでも呼び出して頭を洗わせようと思っていたら、勢いよく浴場の戸が開いて、なんと全裸の猫モが男風呂に入ってきやがった!
「タルちゃーん!頭洗いにきたにゃーっ!」
とか言ってやがる。こいつ酔ってるな!
そういえば入り口に“冒険者さんありがとうキャンペーン・今日は酒風呂の日”とか書いてあったな。
どうやら猫モのやつはその酒風呂用の酒をしこたま飲んだみたいだ。
酔った猫モは出て行くよう言ってもまるで言うことを聞きやしない。
さいわい男風呂には今は他に客はいないけど、とにかく早く猫モを追い返さないとやばいことになりそうだ。
ど、どうしよう…えーと、そ、そうだ!
オイラは黒っちが赤魔子宅でおしおきを受けている事を猫モに伝えた。
すると猫モは
「黒っちをたすけるにゃーっ!」
と赤魔子宅へと向かう気まんまんになった。
一見友情に燃えて黒っち救出に向かうようだけど、だらしなくヨダレを垂らしているところを見ると
どさくさにまぎれて赤魔子と愛人の乳を揉みまくるつもりに違いない。
悪いな赤魔子。ちょっと猫モの酔いがさめるまでタゲを引き受けてもらうぞ。
オイラは猫モに服を着せて赤魔子宅へと送り出した。
ふぅ…これでゆっくりお風呂に入れそうだ。
湯船から沸き立つ湯気からは酒の香りが漂っていた。
オイラ、酒風呂なんて入るの初めてだな。
ちょっとワクワクしながら入ったオイラだけど、酒の香りを嗅いでいるうちに不吉な予感が頭をよぎった。
たしか、猫モと一緒に姫も風呂に入りに来ているはずだよな…?
姫はすごく酒が弱くて、酒の香りを嗅いだだけでクラッときちゃうんだ。
ついでに酒癖も悪いのでLSでは姫への禁酒令が施行されてるくらいだ。
姫のことが心配になったオイラは急いで着替えて男湯から飛び出した。
嫌な予感を感じつつ女湯へ向かう通路をひた走ると、姫の危機的状況が目に飛び込んできた。
酔って前後不覚になった姫をヒュームのヒゲ男が介抱するフリをしてお持ち帰りしようとしていた…!
なにやってんだゴルァ!
つづく(次回:手ごたえはFカップ)