タル日記その9 護衛の報酬〜ナイマ編〜(全10回)


あれからしばらくして酔いがさめた猫モがつやつやになって帰って来たので、オイラは姫の相手を猫モに任せてマーブルブリッジへ飲みに行った。
酒場ではいつものようにLSメンの主だった連中が酒を飲んでいたんだけど、忍者が何やら騒いでいた。

忍者
「ほんとだって!wビキニ姿の姫がトラにまたがって、ゲラゲラ笑いながら走って行ったんだって!w」

どうやら忍者は姫が浴場から帰るところを目撃したみたいだ。
…たしかに姫はあの時ハイテンションで高笑いしてたな…。

忍者
「信じてくれよ!wすげー乳プルプルしててよwあの美乳は姫に間違いないって!w」

忍者は姫の胸ばかり見てたみたいで、そばで走っていたオイラには気がつかなかったようだ。
忍者の目撃証言はホントの事なんだけど、ちょっとありえない内容なので誰も信じなかった。
それどころか抜け駆けして浴場を覗こうとしていた事を自ら暴露したようなものなので、忍者はみんなからボコボコにされてしまった。
あの時少しタイミングが悪かったら姫は忍者の餌食になってたかもしれないんだな…危なかった。

それから皆で飲み直していると、パールがけたたましく鳴った。
ナイマからの通話だ。夜かけてくるなんて珍しいな。どうしたんだろ。

ナイマ
「モコモコーっ!む、迎えに来て。今、えーと…イモ虫多すぎな所にいるの」

ナイマはそうやらジュノに向かおうとして道に迷ったらしい。
この間サポ取得を手伝ってやって、ナイマは今はサポジョブを育ててるはずなんだけど、育てきったのか…?いや、飽きたんだろうなきっと…。

内藤
「うはwwwwwwwwwタル君元気?wwwwwwwwwwwww」

パールから内藤さんの声も聞こえてきたのでオイラは腰を抜かしそうになった。
なんとナイマは内藤さんと一緒らしい。
話を聞くとジュノに向かう途中でナイマは内藤さんに出会い、道案内してもらっているらしい。
そして何故かクロウラーの巣に迷い込んだのだそうだ。

とにかくナイマを迎えに行かなきゃ。
内藤さんが一緒と聞いて嫌な予感がしたオイラは酒場にいた仲間と一緒にチョコボで巣へ向かった。

ナイマがロランベリーに再び出たと知らせてきたので内藤さん共々PTに誘うと、2人のいる座標は随分と西だった。巣の西側の出口から出たみたいだ。
すると、内藤さんのHPがみるみる減り始めた。
チョコボを全速で飛ばして駆けつけると、ナイマと内藤さんが丘の上から飛び降りて来た。

でかい鳥…シムルグを引き連れて。

内藤
「こいつロランベリーで最強って聞いたwwwwwww最強と名がつくからには俺様が倒すwwwwwww」

丘の上でシムルグを張り込んでいたいくつかのパーティーからオイラ達に罵声が飛んできた。
ツールまで駆使したのに内藤さんの神速フラッシュに釣り負けて相当悔しがってるみたいだ。
連中も丘から飛び降りて来て内藤さんにケアル→インビンを発動させるなど、横取りしようと必死だ。
だけど内藤さんの常時フラッシュのタゲ固定はまるで揺るがない。
連中には悪いけどこちらで倒させてもらうとしよう。こちらはLSの主力が10人ほど揃っている。シムルグを仕留めるには十分な戦力だ。

オイラ達が戦闘に加わってすぐにシムルグのマイティストライクが発動して、内藤さんが戦闘不能になった。
厄介な2hアビを消費して厄介な内藤さんを沈めてくれるなんて、シムルグナイス!
内藤さんには悪いけど、これで問題無くシムルグを仕留められそうだ。

と思っていたら、何故かサポ戦のナイマから挑発が飛んだ。
「こっちよ!この焼き鳥野郎!」
お前がタゲを取るなよ!
そうだった…ナイマはこういう奴だった。予測不可能なのは内藤さんだけじゃなかった。
慌てて忍者が挑発を飛ばしてナイマが倒されるのを防いだ。
ナイマが次に何をしでかすのか心配だったけど、それからナイマはすぐにシムルグのララバイで眠ったのでそのまま休んでおいてもらった。

無事シムルグを倒すとストライダーブーツがドロップしてLSメンが沸きかえった。
以前LSでシムルグを倒した事はあったんだけど、ブーツのドロップは初めての事だ。
LSメンだけで倒したのなら装備できる狩人あたりに持たせておくんだけど、メンバー以外の内藤さんが参加していた事を考慮して競売に出してギルを分配する事にした。
と思っていたら、いつの間にか蘇生していた内藤さんが999とかいう鬼ロットを叩き出してブーツは内藤さんのものになってしまった。

内藤
「sh/ヒャッホーイ!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

と叫びながら、何故かナイトには装備不可能なはずのストライダーブーツを穿いて内藤さんはソロムグの方へととんずらで駆け去って行った。

内藤
「sh/これでロラン最強の称号は俺様のものwwwwwwwwwww次はソロムグwwwwwwwwwwwwwwwwww」

次はロックと雌雄を決するのか。まぁ頑張ってほしいものだ。
ストライダーブーツは取られてしまったもののLSメンから不満の声は出なかった。
元々内藤さんが釣り勝ったものに便乗した形だし、ダマスクインゴットも手に入ったからだ。
ストライダーブーツには及ばないけれどダマスクインゴットもそこそこ高額で売れるしな。
思わぬ臨時収入も入ったことだしナイマのジュノ上京を盛大に祝おうという事になった。

と、ここまでは良かったんだけど、それから大変な事になってしまった。
ナイマはララバイから目を覚ましてシムルグが倒された事を知ると緊張の糸が切れたみたいで、わんわん泣きながらオイラに抱きついてキスしまくってきたんだ。


ナイマにはこれまでたくさんキスされてきたけど、今度のはちょっと熱烈で参った。
あ、あの…舌とか絡めないでください…。

シムルグを倒して盛り上がっていたLSメン達は、また違った盛り上がりを見せ始めた。
「猫モさんという人がありながら!」「うはw浮気現場目撃w」「タルっちはかっこいいからしょうがないよ〜」
と好き勝手な事を言って冷やかしてきた。
一方、これまでこっそりナイマを警護していたLSメンの中には熱心なナイマ支持者もいたらしくて、泣き崩れる奴が何人かいた。な。泣くなよな…。

ふと、なにやら冷気を感じて振り返ると、やや遠目にチョコボに乗った猫モと姫が佇んでいた。
パールで騒ぎを知って駆けつけて来たみたいだ。
オイラが手を振ると、2人はそれには応えずにチョコボに乗ったままジュノへと引き返して行った。
な、何だかすごい冷たい視線で睨まれていた気がするんだけど、気のせいだろうか…。


つづく(次回:ゴキゲンナナメな二人