その3:「おっぱいとカエデ」(全10回)


あれから臼姫さんにレイズしてもらったオイラは猫モにこってり説教をして、それから皆でKorroloka Leechを倒して無事に奇妙な珊瑚を手に入れた。
手伝いが終わると、内藤さんと臼姫さんはテレポでどこかへ飛んで行った。これからデートらしい。

「手伝いが必要ならいつでも呼んでねwwwwwwwwwwwwww」

と内藤さんは言ってくれたけど、できるだけそれは勘弁してほしいなぁ。

オイラと猫モは奇妙な珊瑚を届けるためにバストゥーク港のエンセツさん宅に向かった。
奇妙な珊瑚を手に入れたと伝えるとエンセツさんは喜んでくれたんだけど、今度はそれをノーグのリョウマという人に届けてくれと言われた。
海賊の巣窟のノーグか。行くのはずいぶんと久しぶりだ。

「カエデはいるかにゃー?元気かにゃー?」

エンセツさんと話し終えた後、猫モはエンセツさんの娘のカエデの部屋に向かっていった。
以前クエストのオファーを受けにエンセツさんのお宅に来たときに猫モは娘のカエデと仲良くなったらしい。

残念ながらカエデはいま白魔法の家庭教師と自室で勉強中とのことだった。
それは丁度よかった。発情期の猫モを会わせるとカエデの身が危ない。このまま家を出よう。
でも猫モは勉強中とかそんな事はお構いなしに

「むっ!?なんだかおっぱいがピンチなきがするにゃ…!」


なんて言いながらズカズカとカエデの部屋へと入っていった。
おい、こら!勉強の邪魔しちゃダメだろ!

オイラは慌てて猫モを引っ張り出そうとしたんだけど、部屋の中の光景を見て固まってしまった。


部屋のベッドには半裸のカエデと、彼女を上に乗っけた家庭教師─エル先生の姿があった…!
何やってるんですかあああぁぁぁ先生いいぃぃ!!

「はっはっは!授業の邪魔をするとは野暮ではないかね君達」

最近ジュノでエル先生の姿を見ないと思ったら、家庭教師なんてやってたのか…!
ダメでしょ先生!生徒にこんな真似しちゃ!

「それは人聞きが悪いのだね。未成熟…もとい未熟な信者を絶頂…もとい楽園に導くのが修道士の務め。後ろめたいことなど何もないのだよ」

ダメだこいつ…はやくなんとかしないと…!
エル先生には動揺したり悪びれたといった様子がまったくない。むしろ胸をはって堂々としている。どういう神経しているんだこの人…。
しかも厄介なことにカエデは先生のことを慕っているみたいで、先生の腕にしがみつきながらオイラ達に出て行くよう言ってきた。

「カエデ君もこう言っている。ささ、授業の続きをするので出て行ってくれたまえ」

ぬけぬけとまぁ…。何の授業をするつもりなんだよ…!

「白魔道士の主食はキノコ料理。カエデ君には先生のキノコを味わってもらおうと思ってね。性的な意味で」

ダメだこいつ…ホントになんとかしないと…!
オイラはカエデを先生から引き離して、エンセツさんにこの事を知らせようとした。
すると、先生がドアの前に立ちふさがった。

「悪いがそうはさせないのだよ。少し待っていてくれたまえカエデ君。すぐに授業の続きをしよう」

そう言って先生はリポーズを唱え始めた。
くっ、 実力行使しかないか…!
すると、オイラが斧を構えるよりも速く猫モがエル先生に飛び掛っていた。

「あのおっぱいはウチのものだにゃーっ!!」

猫モもロクでもないことを口走っていたけど、ともかくこれでエル先生は魔法を詠唱する余裕がなくなった。
でも エル先生は猫モの攻撃を涼しい顔でかわしつつ、そっとカエデに一輪の花をトレードしながら何やら囁いていた。

「誰も私たちの仲を裂くことなどできないのだよ。見ていてくれたまえ。この戦いを君のために捧げるのだよ…!」

言っていることは高潔な騎士みたいでかっこいいんだけど、先生チ○コ出しっぱなしだし!
でもカエデはうっとりとした表情で花を受け取ってるし。…ダメだ。すっかり篭絡されちゃってる。

「しねにゃーっ!」

猫モはエンジン全開で拳を振るい始めた。うわ…殺る気まんまんだ。
昔、姫は家庭教師をしていたエル先生に色々とセクハラまがいの事をされていたらしく、それを聞いた猫モは普段からエル先生を目の敵にしていた。
いや、当の姫本人はエル先生を慕っているんだけどさ。猫モは姫に手を出すヤツには容赦ないんだよな。
その恨みをここぞとばかりに爆発させて、猫モは猛攻撃を仕掛けていた。

だけどエル先生は猫モの攻撃を紙一重でかわし続けていた。まるで常時心眼状態だ。
猫モの攻撃が全て空振りになっている一方、エル先生の振るうハンマーは確実に猫モのHPを打ち減らしていった。
すごいな先生…!腕がたつとは思っていたけど、こんなに強いとは!

「少女への肉欲が私に力を与えてくれる…!このエル先生、カエデ君の純潔を貫くまでは決して敗れはしないのだよ!」

…感心していたオイラがバカだった。オイラも猫モに加勢してとっとと片付けよう。
しかし、今のエル先生の強さは計り知れない。2人がかりでも勝てるだろうか。

そこに、騒ぎを聞きつけたエンセツさんがやって来た。
部屋の様子を見て状況を察したエンセツさんは当然ながら激怒して、エル先生に家庭教師のクビを通告した。

「残念ながら退散といくのだね」

エル先生は戦闘の継続を断念し、デジョンを唱え始めた。
カエデに手を出すチャンスを失った途端、エル先生の動きにキレがなくなって猫モの攻撃が立て続けに命中するようになった。
HPを真っ赤に打ち減らされながらも、エル先生はデジョンを詠唱し終えて退避して行った。

う〜ん、この場は収まったけど、今後エル先生がカエデにちょっかいを出せないように、警戒を強める必要があるな。
たしかカエデのお姉さんはミスリル銃士隊のアヤメだったっけ。
妹さんが変質者に狙われているって、警告しておいた方がよさそうだ。


つづく (NEXT:おっぱい師範敗れる